最後の式

先日、私が経営している「坊さんキッチンen」に一人の男性が訪れました。
男性はよくお店に来られている常連の男性(Aさん)のお知り合いでした。
一通り挨拶をした後、
「Aさんは亡くなりました。Aさんはここのお店の話をよくされていたので…」と話してくれました。

Aさんとは電話も繋がらず、LINEも既読にならなかったので私も薄々とは感じていました。
訪ねてきてくれた方とAさんもとても親しかったようで二人で色々とAさんのお話をしました。
何かできることはないかとそんな会話になったので
「お互いにAさんのことを忘れずに生きていきましょう」こう伝えて男性とは別れました。
律儀に訪ねてくれた男性には本当に頭が下がります。仏様となったAさんが繋いでくださった寂しいけれど温かいご縁でした。


さて、私が今、皆さんにお伝えしたいのは以下の写真の内容です。
Aさんは
「自分が亡くなった時には佐々木さん(私のこと)にお葬式をお願いしたい」と希望していました。
Aさんは独り身でしたので
「親戚の方にその旨を伝えといてくださいね。Aさんが亡くなっても私に連絡がこないと私にはどうすることもできないから」そんな会話を何度かしたものです。
しかしAさんの「最後の式」の場所に私はいることはできませんでした。
ご遺族の希望やAさんの死因も私には分からないので何とも言えないのですが、Aさんの最後の願いを叶えれなかったことに少なからず申し訳ない想いがあるのも確かです。

皆さんは最後の式はどうしたいですか?
このような話をしたら
「死ぬことの話をするなんて不謹慎だ!」
なんて声も聞こえてくることも多いこの頃の価値観です。
しかし最後が決まるから安心して生きていけるということはないでしょうか。
私の葬式はこうしてね。と親しい方への最後のお願いは悪いことではないと私は思います。お願いされたご遺族も安心できるところが多いです。
いつ亡くなるか分からないからこそ、一度ご家族や親しい方とそのような大事な話をしておいてほしいと切に願います。
お寺の縁者でお店にもよく来てくれる50歳ほどの女性は
葬儀屋さん、お寺さん、埋葬の形態すべてを自分で決め親戚、旦那に伝えてあります。
私とこのような話をして思い立ったようであっという間に葬儀社さんに契約書までもらってきました。
女性はこう言います。
「これで安心できた」と。
この言葉は嘘偽りではありません。残された方も安心して最後の式に臨めます。なぜなら女性が亡くなった際には契約書に記載されている葬儀社とお寺に連絡をいれれば安心して最後の式に臨めるからです。
決めていなければ亡くなってから葬儀社、お寺、会場など決める方も多くバタバタしてしまいます。

皆さんにつきましてもこの文がご自身のこと、親のことを考える大切なご縁になれば幸いです。

真宗大谷派  六縁寺

藤沢市にある真宗大谷派(浄土真宗、本山は京都東本願寺)の寺院です。 現在の代表(住職)が2020年に新たに開教した新しく小さいお寺ですが、縁ある方との繋がりを大切にしながら、相談しやすく肩肘の張らないお寺を目指し日々活動しています。 日常の相談、仏事の相談など今まで縁のない方もお気軽にご連絡、相談下さい。

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